本物の英語力

本物の英語力 by 鳥飼 玖美子

上智大学外国語学部卒業。
コロンビア大学大学院修士課程修了。
サウサンプトン大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。
NHK「ニュースで英会話」監修およびテレビ/ラジオ講師でもある
鳥飼 玖美子さんの著書です。

英語格差はこうして乗り越える…

「英語格差」!
なんと嫌な言葉なのか?

でも残念ながら現実を映した言葉である。

これを批判することはできるし、
批判しなければならない。

あってはならないことだ。

けれど、実際の社会では、
英語ができると何かと役に立つ、
という現実があるのも確かである。

ならばどうしたら良いのか?

皆んながある程度の英語力をつければ、
「格差」は縮小する。

それには、どうしたらよいか?

簡単である!

英語を勉強すればよい…

「英語の壁」を超えるための新常識!

新常識10

  1. 発音はハチャメチャと完璧の間を狙う
  2. 語彙を増やすためにはたくさん読むこと
  3. 文法を間違っていると「教養がない」と思われる
  4. 好きなこと、関心があることで英語を学ぶ
  5. デジタル英語学習では、事実や情報を得て理解し「感性」を養う
  6. 記録するには、手で書く
  7. 英語のライティングの「論理構成」は、話すことにもつながる
  8. TOFEL受験対策にも、留学にも「読む力」が必要
  9. 外国語学習では「慣れるまで習え」
  10. 英語学習の成否を決めるのは「自律した学習者になること」

目次

◆第1部 英語は基礎力―発音、語彙、コンテクスト、文法(「なんで英語やるの?」
「発音」は基本をおさえる―「国際共通語」はハチャメチャ英語ではない
先立つものは「語彙」
「コンテクスト」がすべてを決める
話すためにこそ文法)

◆第2部 英語の学習法―訳す、スキル、試験、デジタル、そして映画(訳すことの効用
英語はスキルか内容か
英語力試験にめげない、振り回されない
デジタルと英語教育
映画で英語
長崎通詞の英会話習得法)

◆第3部 英語の実践―語学研修、留学、仕事(英語を書く
語学研修と留学
仕事に使える英語
英語学習は未知との格闘)

Amazonに移動する…

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MEMO

◆速読のコツとは

グローバル時代のコミュニケーションでは、
「必要なことを最初に書く」ことが大事である。

とくに、メールを書くときには
英語の論理構成のように直線的で単純明快にすることが大事になる。

英語はパラグラフから構成されていて、
ひとつのパラグラフにはひとつの内容を書き、
複数のパラグラフには論理的な一貫性を持たせる。

冒頭のイントロダクションでは、
これから書くことは、かくかくしかじかである。
これについては賛成(もしくは反対)と全体の予告をする。

次にいくつかのパラグラフで、予告した内容を詳しく論じる。

問題の所在、背景となる社会的・歴史的状況、
関連するデータや専門家の見解、自分が賛成・反対する理由など。

この本体を英語ではディスカッション(discussion)と呼ぶ。

そして最後の結論では、
新たな議論など余計なことは入れず、
「この文章では、こういうことを書きました」と簡潔にまとめる。

特に冒頭のイントロダクションは重要で、
このパラグラフを読めば、全体の文章がどういうテーマ
を取り上げ、執筆者の立場がどういうものであるか、概要が掴める。

急いているときには、このイントロダクション・パラグラフを読めばよい。

つまり、自分が英文を書くときにも、
その点をしっかり念頭に置き、
まずは全体像を示し、細部は後に続くパラグラフで書けばよい。

忘れてはいけないのは、
英語のパラグラフのひとつひとつが、
全体と同じような構成になっていることである。

どのパラグラフにも、概要をまとめて最初に提示する
「トピック・センテンス」があり、
そして最後に「結論」が来る。

英語の本を読むときには、
英文の構成を理解していると速読できるようになる。

英語の本を速読するコツは、
まずは斜め読みして(これをskimmingと呼ぶ)、
取捨選択して必要な情報だけを拾い出し(これをscanningと呼ぶ)、
それから細部まで読んで十分に理解する
(これを精読 intensive readingと呼ぶ)。

速読のコツをまとめると、

1) Skimming
2) Scanning
3) Intensive Reading

となる。

余談だが、巷に溢れている速読術の基本は、
結局は英語の本を読むときのコツとあまり違いはない。

◆映画で英語を学ぶ

洋画を観るというのは
英語学習者の定番のようである。

昔も今も、英語好きは決まって洋画を観ているようである。

多くの人は「日本語字幕」に頼ってしまう。

でも、日本語字幕を読みながら観た洋画は、
わかったような気になるだけで
実は英語の学習にはならない。

肝心の英語は断片的にしか耳に入ってこない。

映画で英語を学ぶことは、
特定の状況(コンテクスト)で
どのように言葉が使われるのかを理解するのにつながる。

「愛と追憶の日々」という映画で、
夫の浮気が妻にバレたとき、妻は夫に

“I’m on to you.”

という表現をしていた。

「私は、あなたの浮気のことを知ってるのよ」
といった意味になる。

これなどは、映画の状況からある程度想像できる。

この映画の最後で、
娘のエマ(Emma)がガンで亡くなるがこのとき看護師が

“She’s gone”

と言っていた。

英語学習者は、英語という異質な文化に接したいので、
字幕付きの洋画にこわだわるのではないか。

でも、せっかく観るなら、
もう少し積極的に映画を観るべきではないか。

まずは、字幕ではなく英語を聞いて映画を楽しむ。

日本語字幕は消す。

DVDなら何度でも観ることができるので、
どうしても分からない場面だけ字幕でチェックしてみる。

その際に、少し時間をかけて、
オリジナルの英語ではこう言っているのに、
日本語訳ではこうなっている、
という比較をしてみることも、
英語と日本語の距離を知る上で大切である。

英語の勉強目的で洋画を観るときは、
勉強に適したものを選んだほうがよい。

アクション、SFなどよりも
日常生活とか、家族・人間関係をテーマにしたものがよい。

たとえば、「愛と追憶の日々」などがお勧めである。

この映画は、母と娘の関係を描いた物語になっていて
一般の家庭や新婚生活、子育てなどで使う言葉が
たくさん出てくる。

以下にこの映画に出てくる表現をいくつか
拾ってみので参考にして欲しい。

I’ll day goodbye to Mom.
Want to go with?

No. I don’t think I’m up to it today.

Can you believe it?
He wants to take me to Tahiti.

That would be nice.

You’re my sweet-assed gal.

OK, I’ll put her on.

I’m on to you.

You’ll have to take my word for it.
You have no other choice.

You are a lost man.
A shell, a bag of shit dust.

Cut it out.

Can I help you make up the difference?
Thanks. I’d appreciated it.
I’ll pay you back tomorrow.

You’re a very rude young woman.
I don’t think I was treating her badly.
Then you must be from New York.

She has a cyst that’s malignant.

Careful! These are worth more than you’ll make in your lifetime.

She’s gone.

これが、実際の生活で使われている生の英語である。

洋画は、GEO、BookOffなどで古いものなら1週間100円で借りられる。

また、図書館には英語の勉強に適した洋画のDVDがたくさん用意されている。

私の住んでいる図書館では約5000本の洋画が借りられる。
ぜひ図書館を有効活用して欲しい。

◆英語検定試験について

英語格差を、これでもかと見せつけるのが
日本では「英語検定試験」などの各種の
英語能力測定試験である。

なにしろ英語力が点数という数値で示されるので、
それだけで動かぬ証拠となり、
高得点を得た少数の人たち以外の多くは落ち込む。

そして英語嫌いになる。

英語力を測定する試験の受講料は
数千円から2万円を超すものまであり、
2時間かかる試験から4時間半かかるものまである。

就職ともなればTOEIC(トーイック)というビジネス英語の
スコアが必要だと言われ、730点を超えなければ採用しない、
昇進はないという企業もある。

アメリカやカナダの大学に留学するために
必要であるTOFEL(トーフル)という英語検定能力試験が
最近とみに脚光を浴びている。

TOEICとTOFELは、米国のETSというテスト専門機関が作成している。

英国製では、留学時に必要なIELTS(アイエルツ)や、
ビジネス英語のBULATS(ブラッツ)がある。

日本の企業で求めるビジネス英語力の判断としては、
国際ビジネスコミュニケーション協会が提供する
TOEICが圧倒的な知名度で、
多くの大学が就活に備え学生に受験させている。

米国やカナダへの留学ならTOFELの公式スコアが必要になる。

インターネット形式のTOEFL-iBTは、230ドルの受験料を払い
4時間半かけてコンピューターで受験する。

内容は「読む、聞く、話す、書く」の4技能で、
英語圏の大学で学ぶための力があるかどうか
アカデミックな英語力を測定する。

語彙、文法、読解、英語式論理構成など
総合的な英語力が問われ、英会話ができる程度では
歯がたたない試験内容である。

英国やオーストラリア、ニュージーランドへの留学には、
IELTSのスコアが求められる。こちらも大学などの場で
必要なアカデミックな英語力を測るが、
英語での面接を実施して対面で話す力も見るようになっている。

日本の中学高校で英語力診断に多く使われるのは、英検とGTECである。

ベネッセのGTECはスコアが数字で出るが、
英検は1級を頂点に下は5級まで7段階のレベルで表示される。

1級合格者はごく少数で、普通は準1級である。

中高の英語教師でさえ半数が準1級と言われている。

大学受験は2級レベルとされていたが、
最近の高校3年生は準2級が大半である。

◆英語のシャドーイングについて

シャドーイング(shadowing)とは、
聞こえてきた音声をそのまま繰り返すだけの
単純な練習である。

そもそも、シャドーイングは同時通訳の基礎練習である。

同時通訳者養成になぜこの訓練が入っているかといえば、
耳から聞こえた言葉を別の言葉で瞬時に口から出す。

つまり、「聞く」と「話す」を同時進行で行うという、
通常の会話ではあり得ないことができるようになるために、
「訳す」という作業をしないで
「聞いたことをそのまま繰り返して口から出す」練習をする。

慣れてくると、自分の声を無視して耳から聞こえてくる
音声に集中できるようになる。

日本の伝統的な外国語学習法に「素読」がある。

漢籍をひたすら声を出して読む。

「同時通訳の神様」と呼ばれた國弘正雄さんは、
中学のとき英語を音読して学んだそうである。

そして同時通訳者になれるほどの英語力を身につけた体験から
「只管朗読」として音読学習法を広めた。

只管朗読(しかんろうどく)とは、
暗記しようとは考えず、「ひたすら音読」する方法である。

具体的には、英語の教科書を「毎日」「定時間」「一定量」「必ず」音読する。

1日あたり1時間を目処とするのが基本である。

CDを聞いて内容を推測してから音読し、
その後、精読して内容を理解することも含まれている。

なので内容を度外視してひたすら音読するだけではない。

ちなみに、私は1時間の散歩中に
スマホにダウンロードしておいた動画の音声を聞くのが
習慣になっている。時々、シャドーイングもする。

主に、TEDとかTEDxの動画の音声を聞いている。

最近だと、Steve Jobs、Tony Robbins、Brian Tracy、
Grendon Burchard、Les Brownなどの音声を聞くことが多い。

散歩中に音声を聞くということは、
健康によいだけではなく、英語の学習にもよい。
そして、もっとも重要なのは世界中で活躍している
メンターの考え方を学ぶことができることである。

音読の効果は科学的に証明されているわけではない。

何回も音読するほど努力する学習者は、
音読だけでなく、書かれている内容を精読したり、
次には多読したりと、さまざまな学習法を実践している人が多い。

英語の学習は、
「ひたすら音読」という方法に頼るのではなく、
さまざまな学習方法を取り入れて学ぶのがもっとも効率がよい。

◆英語学習のおけるトップダウンとボトムアップ

外国語を勉強するには
トップダウン・リーディング(top-down reading)と
ボトムアップ・リーディング(bottom-up reading)がある。

「トップダウン」とは、
学習者が既に持っている背景知識を活性化して、
英語なら英語の文章の大意を把握する。

知らない単語などがあっても前後の文脈から推測して読み進み、
文法を考えたり日本語に訳すことなどはしない。

「ボトムアップ」は、
反対に、文法的に分析し、単語の意味を調べながら、
ひとつひとつのセンテンスを丁寧に読んで全体を理解する。
いわゆる文法訳読である。

大事なことは、
この2つの二律背反ではなく、
クルマの両輪のように、
どちらも必要だということである。

ざっと読んで大筋を理解することも、
じっくり分析しながら丹念に理解することも
どちらも大切である。

◆話すためにこそ英文法が必要!

「文法なんてやるから英語が喋れない」
という話をよく聞く。

そして文法は百害あって一利なしのように
避難され、公教育における英語の授業は
文法の影が薄くなっている。

学校では、オーラル・コミュニケーション
をやることになっていても、
実際には文法を教え読解をやらせている学校が少なからずある。

いったいどうして学校では、文法を教え続けるのか。

理由は、英語を使えるようになるためには、
基本的な文法を教えないわけにはいかないからである。

外資系企業に就職すると、
報告や提案などを口頭ではなく文書にして
提出するように指示される。

でも、文法を知らないと英文を書けず、
慌てて文法書を買うことになる。

「英文法」とは、スポーツのルールみたいなものである。

テニスであれ野球であれ、
スポーツには必ずルールがあり、
選手はそのルールに従って試合をする。

スポーツをやりたいと思ったら、
ルール(文法という規則)を学び、
スキル(聞く、読む、書く、話すの4技能)を磨くしかない。

英語の発音が少し変でも不快がることはなく、
外国人なんだからしょうがない、と許してもらえる。

ところが、文法が間違っていると、
単純に「教養がない」と思われてしまう。

メールで書いた英語が文法的に間違いだらけだと、
「うーん、この人、教育程度が低そう」と誤解されてしまう。

文法を知らないと、そもそもセンテンスを組み立てられない。

センテンスを作れないとまともな会話ができない。

まず、最低限のルールを知る、
という意味でも基本的な「文の構造と5文型」
だけは勉強する必要がある。

  1. S(主語)+V(動詞) ➡ I promise.
  2. S(主語)+V(動詞)+C(補語)➡I became a writer.
  3. S(主語)+V(動詞)+O(目的語)➡I opened a window.
  4. S(主語)+V(動詞)+O(目的語)+O(目的語)➡My mother game me a watch.
  5. S(主語)+V(動詞)+O(目的語)+C(補語)➡He makes me happy.

この「5文型」が英語の設計図であり基本的なルールである。

余談だが、目的語と補語の違いが分からない人は、
「イコールでつなげられるのが補語」と覚えておけばよい。

「He makes me happy」をみると、「He」と「me」は二人の違った
人間でイコールではないので「me」は補語ではなく目的語になる。

「happy」は、「私」が「幸せ」なのだから、
「me=happy」となり、補語だとわかる。

英語の5文型を理解しておくと、
一見ややこしい英語の構文を解析できるようになる。

「The five countries selected gained at least two-thirds membership support.」

この文章の主語は「The five countries」であることは容易に想像できる。

ところが、この文章には動詞が「selected」と「gained」と2つもある。

なんで動詞が2つあるの?と混乱し、わけが分からなくなる。

この例では、「2つのうちのどっちが述語動詞だろう?」と考えてみる。

「selected」が述語動詞だと「選ばれた5ヶ国が選んだ」となって意味が通じない。
そこで2つ目の「gained」が述語動詞だと考えれば、
「選ばれた5ヶ国が支持を獲得した」となり意味が通じる。

そして、「selected」は動詞の過去形が名詞を修飾して
形容詞として使われているということがわかる。

これで分るのは、構文を分析すればどんな複雑な英文も意味が読み取れること、
そのためには、文法力、そして語彙力と背景の知識が役立つということである。

文法の知識は英語の理解に必要不可欠であるが、
実際に英語を話す際に、いちいち文法を考えていたら話せなくなる。

なので理屈で考えないで、熟語などは丸ごと頭に叩き込んでおかないと使えない。

文法的な正確性に過度にこだわらず、
無理せず確実に文法力をつけるには、どうしたらよいのか。

万能薬はないが、ひとつ言えるのは、
語彙と同じで、周り道のようでも、たくさんの英文に接することである。

英語を読むという練習をしっかりしていると、
だんだん英文の構造に慣れてきて、
複雑なセンテンスも霧が晴れるように分かってくる。

英語圏で生まれた人でも、関係代名詞を使えるまでに10年はかかることを知れば、
文法は難しいんだ、と気がラクになる。

関係代名詞と同じくらいやっかいなのが仮定法である。

仮定法とは、「もし何々だったら」と、現実とは違うことを仮定として
言う時に必要である。

仮定法を知らないと丁寧な言い方がができなくなる。

日本語のような敬語が英語にはないが、丁寧な表現は英語にもある。

英語では、丁寧に話すとき「仮定法」を使う。
「助けて頂けると本当に有難いです」と丁寧に頼むときには、
「I would appreciated it very much if you could help me.」のように仮定法を使う。

英文法は、英語という言語文化のルールである。

その規則を知ることは、異文化理解につながる。

英語を学ぶということは、「異文化との格闘」でもある。

そう考えて、英文法と正面から向き合ってみると、
日本語とのあまりの違いに唖然としつつも、
違うからこそ面白いということにも気づく。

日本語と違うからこそ、異なる世界を知ることになる。

だから英語を学ぶ意義がある。

本当に理解しようと思ったら、
文法もひっくるめて英語という言語文化を知ることである。

◆英単語は丸暗記ではなくコンテクストで覚える!

英語を使えるようになるには語彙が欠かせない。

だからと言って、
単語カードの表に「英単語」を書き、
裏に「日本語の意味」を書いて
覚えても使い物にならない。

これには2つの問題がある。

ひとつは、単語というのはコンテクスト(その場の状況など)
によって意味が変わってくるので、
まとまったセンテンスとかパラグラフで
どう使われているかを知らないと、
結局は使えないという問題。

もうひとつは、
英語の○○=日本語の△△という等価(同じ意味)の関係は、
言語が異なるとありえないという問題。

それぞれの単語のニュアンスが違ったり、
意味範囲が微妙にずれていることが多く、
完全に同じ意味になることは稀である。

「As a matter of principle、such a trade agreement is bound to unleash some potential…」

の文章で使われている「unleash」を「引き綱を外す」と訳してもまったく意味が通じない。

この文章では「解き放つ」という意味になる。

意味がコンテクストで変わるのは、単語だけではなく熟語も同じである。

英語の「come up with」という句動詞がある。

「(計画などを)思いつく」「(考えなどを)打ち出す」という意味がある。

「Seven-Eleven Japan has come up with new kind of onigiri….」

この文章では「come up with」が「用意している」となり、
「セブン-イレブン・ジャパンは、新しい種類のおにぎりを用意している…」
という意味になる。

「alert」と「warning」も言語が違えば意味も変わってくる。

「travel alerts」の場合は、テロの脅威、政情不安など短期の危険について
注意を喚起することを意味する。日本の外務省が渡航について出している
「海外安全情報」の「十分注意してください」にあたる。

「travel warnings」の場合は、長期にわたり不安定な状況が続いており、
渡航は避けるべきだと警告するもので、外務省の「渡航禁止勧告」に該当する。

このように同じ「警告」でも、英語では”alert”より深刻な場合に
“warn”となるニュアンスがあることが分る。

このような違いを知るには、
多くの英文に当たるしかない。

英文を大量に読んでいると、
それぞれの単語はコンテクストによって使われる意味が
異なってくることが分かってくる。

英語の単語や語句は、日本語のそれと等価ではない。

だから単語カードで機械的に覚えても使いこなせるようにはならない。

日本語で言い表すことができない外国語の意味をどうやって
把握するのかといえば、
その言葉がコンテクストの中でどういう意味で、
どう使われているかを考えるしかない。

逆にいえば、コンテクストがあるから単語や語句の意味が分る、ともいえる。

コンテクスト(context)には、その場の状況などの
「状況コンテクスト」の他に、
文化が関わってくる「文化的コンテクスト」もある。

文化が違えば、前提とする常識や世界観や価値観が異なるので、
「コンテクスト」が異なってくる。

ちょっとした言葉であっても、
それは「文化」というコンテクストに埋め込まれており、
また、話している相手が誰か、その場の状況や環境はどのようなものか、
という動的な「状況」コンテクストによっても左右される。

英語で未来を表現するには「be going to」とか「will」
を使うことは知ってると思うが、
「現在進行形」とか「現在形」も未来を表現することができる。

「Aliens will invade Earth」と
「Aliens are going to invade Earth」は同じ未来形でも意味が異なる。

「will」は遠い未来の不確かなことを表現するときに使う。

なので「Aliens will invade Earth」と言われても
エイリアンが地球を侵略するかどうかは
確かなことではないので驚くことはない。

ところが「Aliens are going to invade Earth」と言ったときは、
エイリアンが地球を侵略することが本当のことで(確かな情報をもっている)、
近未来に地球を侵略するという意味になる。

それから「will」は約束するときにも使う。

たとえば、「I will marry you」と言えば、
あなたと結婚することを約束するといった意味になる。

あと、「will」はボランティアで何かを行うときにも使う。

たとえば、「I’ll do it」といった使い方。

このように英語は、
同じ未来形でもコンテクストによって意味が変わってくる。

英語力をつけるには、
会話パターンを暗記しているだけでは効果が薄く、
ともかく「読む」ことである。

なぜなら、コンテクストの中で生き生きと使われている言葉を
学ぶことを可能のしてくれるのは、
何と言っても「読む」ことだからである。

読むことは、英語力の「大いなる可能性を引き出す」と言っても過言ではない。

◆英語学習の基本は「語彙」から

英語を使えるようになるには、
度胸も必要だが、もっと必要なことは、
語彙(Vocabulary)である。

いくら勇気を振り絞っても、
単語や語句を知らなければ、
言いたいことは何も言えない。

自分の知らない単語を
別の知っている単語で
言い換えることもできるが限界がある。

語彙の学習については
「数」と「方法」の2つの問題がある。

ひとつは、
「どのくらいの単語数を覚えたらよいのか?」
という数の問題。

もうひとつは、
「どうやって覚えたらよいのか?」
という学習方法の問題である。

まず、数の問題だが
「何のために英語を学ぶか?」
によって必要な語彙数が変わってくる。

ちょっと海外旅行に行く程度なら
中学レベルの語彙でなんとかなる。

でも、仕事で英語を使うとなれば
8000語は必要になる。

そして、何かの問題について議論するとなれば、
1万語は欲しい。

北米の大学や大学院に留学して
本格的に学ぶとなれば、やはり1万語程度の
語彙が必要となる。

TOFELのスコアを見ると、
およそ8000~1万語レベルであることが分る。

ちなみに英語が母国語の人たちの語彙は
2万語くらいと言われている。

日本の中高の6年間で学ぶ語彙数は、
およそ3000語。

たったの3000語である。

大学卒業時で
4000~5000語くらいになる。

仕事で使う英語となれば
8000~1万語が必要なので、
これでは太刀打ちできない。

そもそも語彙数が圧倒的に不足している。

英語が思うように使えないのは、
語彙数が圧倒的に不足していることを
自覚する必要がある。

意識して自力で頑張るしかない。

自律した学習者になり、
自分で語彙数を増やすしかない。

読んで分からない単語は、
聞いても分からない。

単語や表現を知らなければ、
英語を読んでも聞いても分からないし、
書いたり聞いたりできない。

つまり、英語を使えるようにならない。

英語の単語は、
単語カードを使って丸暗記しても
覚えられない。

では、どうすればよいのか?

回り道を覚悟して、
ゆっくり着実に語彙に取り組むしかない。

どうやって?

英文を読む!

それも、たくさん読む。

読み方には「精読(intensive reading)」と
「多読(extensive reading)」の2種類あるが、
自習では多読がお勧めである。

細かいことにはこだわらず、内容を楽しみながら
ざっと読み飛ばす。

知らない単語があっても、
いちいち辞書を引いていたら、
時間ばかりかかって進まず、楽しくないので、
知らない単語は無視する。

どんどん読んで、
特定の単語が分からないとどうしても
内容が把握できない、
意味を推測してみても、
それが正しいか確認できないというときだけ、
辞書で調べてみる。

そのとき「ああ、こういう意味なのか」
と思って納得すると、
その単語は頭の中のデータベースに蓄積される。

もちろん、ゆっくり熟読することも大切である。

自分の興味のある本などを、時々丹念に読んでみる。

読むことは、
英語を聞く力、話す力、書く力など、
すべての土台となる。

目的やその時の気分に合わせて、
「多読」「精読」を組み合わせて、
ともかく英文を大量に読んでみる。

カナダ生まれで、アメリカ在住の
ブライアン・トレーシーさんが
「1000%の公式」で毎朝1時間本を読むことを勧めている。

毎朝1時間英語の本を読めば1週間で1冊読むことになる。

そうすれば、1年で52冊読むことになる。

専門分野の本を52冊読めば、大学院で学ぶのと同等の
知識が習得できる。

英語の語彙が増えて、
専門知識が得られてまさに
一石二鳥の効果が得られる。

◆英語の発音とアイデンティティ

発音には自己アイデンティティや
自尊心が深く関わっている。

“think”の”th”を無視して、
「シンク」と発音する。

“that”をあえて「ザット」と発音する。

“r”を英語的に発音する日本人がいると、
いかにもキザで不愉快と告白する人がいる。

これは、無意識のうちに、
日本語を話す日本人の自分を保とうと、
英語的な発音を拒否しているような気がする。

英語の発音は、日本人として何となく恥ずかしいくらいに、
口を大きく開けたり、舌を動かしたり突き出したり、
呼吸法さえ違ったりと、身体動作に大きな変革をせまるので、
身体が受付ない、という状態になり、
結果として英語とは聞こえない
日本人固有の英語になってしまう。

余談だがスティーブ ・ジョブズの
「スタンフォード大での卒業式スピーチ」を
シャドウイングしていたら呼吸が困難になった。
英語を話すときの呼吸と日本語を話すときの
呼吸が違うことに気づいた。

世界の人に分かってもらえる英語を身につけるには、
完璧な英語でなくてもよいし、
流暢な英語でなくてもかまわない。

ましてや自分のアイデンティティを捨てる必要などない。

自分が誰であるかのアイデンティティを大切にしつつ、
世界の人々とコミュニケーションをとるために、
英語の音とリズムの特徴を把握して、
ゆっくり、はっきり、分かりやすい英語を話せばよい。

◆英語が上達しないワケ

「英語は必要だ」と誰もが念仏のように唱えているが、
実のところ英語は日本人にとって
「絶対に必要な存在ではない」のを
誰もが知っている。

日本に暮らしていて英語を学ぶことは、
「外国語」として英語を学ぶわけで、
英語が主要言語である社会で
日常的に使わざろう得ない「第二言語」
として学ぶわけではないので、必要度は低く、
接触する機会も極めて少ない。

普段使わないので、上達しないのは当たり前である。

ところが、そのような環境の中でも
英語が使えるようになる日本人はいる。

英語の「達人」と呼ばれるようになった人は、
誰もが努力している。

学校だけで勉強を完結しているわけではなく、
自分でさまざまな勉強法を工夫し、
あれこれやっている。

そのような努力を継続させる原動力は、
英語を学ぶことを必然とする何らかの理由である。

「英会話が趣味」という人に限って
なかなか英語力がつかないのは、
目的が明確でなく、
何となくやっているだけからかもしれない。

到達可能な夢を持ち、
それを実現するには英語が必要だ、
となれば、きっと英語学習に気合が入るはずである。

自分は何が得意か、
何をすることが好きか、
夢は何か、これからしたいことは何か?
を考えてみる。

何かひとつ見つけたら、
それについて英語で読んだり聞いたり話したりしてみる。

たとえば、C言語、Java、PHP、JavaScriptなどの
プログラミング言語に興味があるときは、
日本語の専門書ではなく英語の専門書を買って勉強してみる。

また、インターネットで情報を検索するときも、
日本語のウェブサイトではなく、
英語のウェブサイトを検索して情報を探すクセをつける。

余談だが、ITの情報に関しては
日本語のサイトと英語のサイトでは、
格段の差がある。

極論を言えば、
日本語のサイトは英語のサイトを日本語に
翻訳したものが圧倒的に多い。

どちらが分かりやすいかといえば、
当然英語のサイトである。

関心あることがとっかかりになって、
知りたいという目的が生まれると、
好きなことに引きずられて、
いつの間にか英語はあなたの生活に入り込んでいるはず。

◆英語格差

英語が重要だとなると、
人間を英語力で測ることが当たり前のようになり、
ネイティブ・スピーカーに限りなく近く英語を話せる人が
何だか「偉い」ようになり、英語が苦手な人は中身がどんなに
立派であっても尊敬されないどころか就職もままならない、
という歪んだ状況が生まれる。

これが「英語格差」である。

英語格差という言葉は、嫌な言葉であるが、
残念ながら現実を反映している。

ならばどうしたら良いか?

皆んながある程度の英語力をつければ、
「格差」は縮小する。

それには、英語を勉強するしかない。

英語を勉強しても、成果がでない人は
これまでの学習方法が間違っている可能性がある。

英語学習の基本は

  1. ネイティブ・スピーカーを目指すのではなく、自分が主体的に使える英語を目指す
  2. 英語を覚えようとするのではなく、知りたい内容、興味のある内容を英語で学ぶ

ことである。

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