外国語学習に成功する人、しない人

外国語学習に成功する人、しない人 by 白井 恭弘

浦和市立高校教諭を経て、
カリフォルニア大学ロサンゼルス校に留学した
白井 恭弘さんの著書です。

語学の教材や学習法の情報があふれている。

本当に有効な外国語学習法とはどんなものだろうか。

「外国語が身につく」とき、
学習者にはどんな変化がおきているのか?

言語学や心理学などの知見を基盤としながら
独自の研究分野として発展してきた
「第二言語習得研究」の最前線を紹介…

目次

1 日本人はなぜ英語が下手なのか(その1 動機づけ)
2 日本人はなぜ英語が下手なのか(その2 母語の影響)
3 外国語学習に成功する人、しない人
4 外国語が身につくとはどういうことか
5 どんな学習法なら効果があがるのか
付録 知っておきたい外国語学習のコツ

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MEMO

◆日本人はなぜ英語が下手なのか?

日本人が英語ができない大きな理由は、
動機づけの弱さである。

日本にいれば、英語が使えなくても
実際問題として困らない。

最近では日本でも、英語が使えたほうがいい
という状況になってきたが、
じゃ使えないからといって困るかというと、
ほとんど困らない。

ところが、フィリピンなどに行くと、
英語ができないと不利な扱いを受ける。

日本人よりもフィリピン人のほうが英語ができるのは、
学習者にそれだけのニーズあるからである。

ちなみにフィリピンの公用語は、
フィリピン語(カタログ語)と英語である。

インドでも似たような状況にある。

インドの母語は、ヒンディー語であるが
実質公用語として使われているのは英語である。

◆無理して話すと変な英語が身につく

かなり英語ができる日本人でも、
“How do you think about it?”
という人が少なくない。

これは、日本語の「どう思いますか?」
を直訳した表現だと思われる。

“What do you think about it?”

という正しい形が身につく前に
この表現を直訳して使いは始めてしまったため、
これが固定してしまう弊害がある。

◆英語で考えるとは

人はその日に起こったこと、
嬉しいかったこと、
腹のたったことなどを
誰かに伝えたいものである。

誰かに話すとき英語だとわかっていると、
それを頭の中で英語でリハーサルすることになる。

このようなリハーサルの効果は絶大である。

口に出すか出さないかの違いだけで、
頭の中で英語を話しているので、
英語を話している時間が2倍、3倍に増える。

さらに、頭の中で文を組み立てるレベルまで
もっておかなければならないので、
インプット(聞く)するときの集中度も高まる。

実際に英語を話す時間はなくとも、
英語でアウトプットする必要性があるだけで、
リハーサルの効果により、言語習得のスピードが上がる。

◆意味を理解することが重要

英語のインプット(聞く、読む)を行うことで、
音声、語彙、文法の自然な習得が進む。

英語の文法よりも、
文章の意味を理解することを重視した学習が重要である。

日本の学校英語教育は、聞いたり読んだりして
直接メッセージを理解する機会が決定的に不足している。

◆無意識で使えるようになるまで練習する

英語がある程度できるようになると、
“He game me…”と聞いたら、
次に何がくるかは、無意識のうちに瞬時に予測できるようになる。

“He gave me”という情報をもとに、
次にくるのは「名詞」で、
多分プレゼントだろうとか、
可能性の高いものを無意識のうちに予測する。

このような能力は、日本語に訳していては身につかない。

大量の英文を聞いて理解しているうちに、
このような能力がついてくる。

会話をするときには、
意味と形の関連付けを、
かなりのスピードで行うことが必要になる。

そのためには、
このような無意識に使える予測文法が不可欠である。

いちいち日本語に訳している時間はない。

また、話すことに関しても、
自動化のためのスピーキング練習が圧倒的に不足している。

これでは、話す力が身につかないのも当然である。

文法訳読中心の英語教育は、
ムダではないが、外国語学習の本来の目的である
「言語を使って意思を通じさせる」というところを後回しにして、
「それは卒業してからやりなさい」
といっているようなものである。

◆英文法は大量のインプットで身につくこともある

子どもは、インプット(聞く、読む)さえしていれば、
放っておいても言語が習得できる。

それは生まれつきもっている能力(普遍文法)のおかげである。

幼児は言語学習能力を例外なく持っている。

もし、成人学習者も同様に、
インプットを大量に行う経験さえすれば文法学習に成功するなら、
文法を教える必要はなくなる。

たとえば、次の2つの文章が正しいかどうか考えてみる。

1) Open me a beer. ➡ Open a beer for me.
2) Open me the door. ➡ Open the door for me.

1)と2)の文法的な正しさについて、
英語母語者は問題なく判断できる。

ところが、英語が母語でない人にとってはそれほど簡単ではない。

そして、このようなルールは学校では普通教えないので、
もし、1)と2)の違いが分る場合には、
それはインプットのみでそのような知識がついたことになる。

二重目的語構文(SVOO)の場合は、
「間接目的語(ここではme)」が
「直接目的語(a beer, the door)」を
なんらかの形で所有することになる、
という意味的制限があるので、
1)は正しく、2)は間違った文章になる。

少なくともこのような知識は教わらなくとも、
インプットを大量に行うことで習得できる。

◆英語学習のコツ

  • インプット
    • インプットを理解するには、背景知識が必要になる。なので自分に興味があることを読んだり、聞く。
    • リスニングは、聞いても20%しか分からないような教材を聞くよりも、80%以上わかる教材を何回も聞く。
    • リスニング教材は、スクリプトがあれば、聞き取れないところを文字で確認してから、もう一度聞く。
    • 動画などは聞き取れないとき、英語の字幕を表示して確認する。
    • 英語「を」勉強するのではなく、英語「で」情報を入手する。
    • ほとんど聞き取れないものでも、聞かないよりは聞いたほうがよい。
  • アウトプット
    • アウトプット(話す・書く)は、毎日少しでもやる。日記を書いたり、独り言を録音、ネットチャットで話すなど。
    • 話すときは、意味が通じることを第一にし、余裕があれば正しい文を言うように努力する。音声も正しい発音をするように注意する。
    • 話すときは、well…, um…, you know…,how do you call it…,などといって、時間を稼ぐ。
    • 話すときに、言いたい単語が思いつかないときは、別の簡単な表現で言い換える。たとえば、「体育館」を指すことばが思いつかないときは、「the building where you play basketball」などという。
  • 語彙
    • 単語は、文脈(コンテキスト)の中で覚える。意味を丸暗記しても使いこなせない。
    • 知らない単語があっても、なるべく推測する。
  • 発音・音声
    • 難しい発音の仕方(RとLなど)は、確認しておき、意識すればできるようにしておく。
  • 文法
    • 文法は、基本的なもの(中学~高校1年程度)について、文をつくれるレベル、アウトプットできる程度までマスターする。
    • 難しい文法は無視してよい。

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